年金事務所の調査

法人である場合、株式やNPOなどに関係なく、社会保険の加入が必須です。ただ、未加入だったり、適切な手続きができていない会社も少なくありません。年金事務所の調査は、そうした会社に指導や是正を求める目的で行われます。特に設立間もない会社や毎年7月の算定基礎届の時期に行われるようです。
私の経験では、調査の際、未加入・月変・賞与という3つのポイントがあるように思います。

①未加入
まずは、単純な未加入者の洗い出し。賃金台帳や出勤簿、雇用契約書などを見ると、すぐに分かる部分です。週に30時間(月でおよそ130時間)勤務する従業員は、原則として社会保険加入となります。ただ、年齢や雇用期間などの要件によって、加入しなくともよい場合もあります。まずは、ここをチェックします。
未加入と認められた場合、最大2年間のさかのぼりが必要な場合もあり、特に注意が必要です。よくあるのは、従業員が社保に入りたくないから入れていないケース。これダメです。個人の選択や意思の問題ではなく、ルールとして決まっていることなのです。

②月変
社会保険料は、給与に大幅な変動がない限り、原則として1年間同じ保険料額です。ただ、基本給が上がったり、手当がつくようになったりして、給与に変動があった場合、月額変更届(月変)が必要になります。
月変は、ぶっちゃけ社労士でも間違う場合もあり要注意です。月変で社会保険料に変更があるべきところを、もれているケース。これは、意図していなくても手続きを取るべきところにさかのぼって、やり直しをさせられることがほとんどです。未加入ほどではないにしろ、保険料をさかのぼって徴収されることは、人数や給与の金額によっては、大きな出費となってしまいます。

③賞与
賞与にも、当然社会保険料がかかります。これを、逃れるために、特別手当や一時金という形で、給与と一緒に支給している場合がありますが、これはやはり賞与として取り扱い、賞与支払届を出すべきでしょう。
ただ、明確な金額は分かりませんが、臨時的に「大入り」という形で、会社の業績に連動せず、恩恵的に支給されている場合には、報酬にも賞与にはならないとする厚労省の疑義回答もあります。

いずれ、法令順守の適切な手続きを取ることが何より重要です。ちなみに、調査官によっても、結構判断が変わるなぁ、というのがこれまでの経験からの私の感想です。

 

文責:宮城県仙台市青葉区中山8-13-25-202
KOMACHI労務事務所
社会保険労務士
宮崎 秀一郎

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