先日、知床半島の遊覧船が沈没した事故では、ずさんな管理体制が次々と指摘されました。船の整備不良、船長の経験不足、会社の危機管理意識の低さが露呈しました。
ゴールデンウイーク直前に起きたあまりにも痛ましい事故に心を痛めている方も多いと思いますが、亡くなった船員(従業員)と会社の関係で見ると、労働災害という側面もあります。
ロシアのウクライナ侵攻でぱったりニュースに出なくなってしまいましたが、おせんべいで有名な三幸製菓の工場火災事故では、複数回のインシデント(重大事故につながりかねない異常)が指摘されています。
ハインリッヒの法則では、1つの重大事故のかげには、29件の軽微な事故があり、事故に至らない300ものヒヤリハットが存在すると言われています。
つまり、死亡者を出すような重大事故の裏に、数多くの「ヒヤリ」や「危ない」が隠れているということです。
使用者側に安全配慮義務と言って、事業運営上、安全に事故を起こさず、けがをさせないことが求められています。まれに蜂に刺される、蛇に咬まれるなどのケースもありますが、労災の9割は人災です。
今回の事故は、自分たちは大丈夫、という慢心が引き起こした取り返しのつかない人災に違いありません。
安全上、本当はやらなければならないのにやっていなかったり、逆になあなあでやっていたりすることはないでしょうか。
今一度、確認が必要かも知れません。