内容証明が来たッ!

ある社長から相談がありました。その方は、知り合いの税理士の先生からの紹介で、監督署から呼出しがあって困っているということでした。監督署に聞いてみると、元従業員からの通報があり、労働条件等に関して確認したいとのこと。さっそく、社長と監督署に行き、事実関係を説明して来たのですが、ここまではよくある話。

その後、別の元従業員から弁護士を通じて内容証明が届きました。内容は、600万円の賃金の未払い請求でした。
この会社、聞くと、出勤簿はつけていない、雇用契約書も交わしていない、10人以上なのに就業規則はない、36協定も届け出ていない、残業込みで給与を基本給一本でどんぶり勘定的に払っているなど、労務管理が全くできていない状態でした。
基本給に残業代を込みで支払う場合、いくら分の残業代で何時間相当ということを知らせる必要があるのですが、当然それもできていませんでした。例えば月給30万円で、そのなかに40時間分の残業代が含まれている場合、23万円が基本給で、7万円が40時間分の残業代、という具合。
社長は「残業代込みだ!」と主張するのですが、就業規則がなく、契約書も説明もなく、ハローワークへの当時の求人票などもないとなれば、話になりません。

そのため、月給30万円をベースに残業代が計算されてしまいました。さらに、出勤簿をつけていなかったがために、労働時間がどの程度であったかも把握していない。これでは、対抗の仕様がありません。こうしたヤバさに気づかない社長があまりに多いのです。そうなる前に手を打つことが肝要で、火が出る前に、それを予見して火種をつぶすのが社労士です。火が出た後では遅いのです。

労務管理の重要性は、問題が発生して初めて分かります。従業員の働き過ぎを防ぎ、その健康を守るだけでなく、会社を守ることにもつながることを分かって頂きたいと思います。

 

文責:宮城県仙台市青葉区中山8-13-25-202
KOMACHI労務事務所
社会保険労務士
宮崎 秀一郎

メニューを閉じる