労働契約法の改正により、雇用契約を更新した従業員が通算5年以上雇用された場合、本人の申し出により、無期の雇用契約を結んだとみなす労働契約法18条1項(通称無期転換ルール)が施行されて4月で6年になろうとしています。東北大の雇止め問題などもニュースで取りざたされたこともあり、だいぶ認知されて来たのかな、と思うところです。
ところで、この無期転換ルール、少し変な問題をはらんでいます。例えば、定年を迎えた従業員が無期転換をしてしまうと、事実上、リアル終身雇用になってしまいます。つまり亡くなるまで雇用し続けなければならない、ということになります。
さすがに、これはおかしいので特例措置を設けられています。つまり、定年を迎えて継続雇用されている従業員には、無期転換の申し込みはできない、という特例措置です。
ただ、ここでひとつ疑問。定年前から雇用されている方はそれでいいとして、では、定年後にはじめて雇用された従業員の場合、どうなるのか。
人手不足が叫ばれて久しい昨今、60歳を超えてもまだまだ元気な方にはどんどん働いてもらいたい、ということで、雇い入れたはいいものの、果たしてこの人たちが5年過ぎて「無期転換してくれ」と言われたら、どうしよう。素朴な疑問です。
ひとつの有効と思われる手段に、「第二定年制度」があります。多くの会社は、60歳定年ですが、定年を過ぎてから雇用された従業員に適用される定年制度を設ける方法です。
これなら絶対に大丈夫!と、言い切れない部分がありますが(判例がないので)、60歳を超えてから採用された従業員が、5年を過ぎて無期転換しても、例えば70歳を第二定年と定めていれば、そこまでで雇用契約を終了することが可能と思われます。
60歳以上の人にも活躍してもらいたいという会社は、規程を見直しておくと、無用な労使トラブルを防ぐ一助になるのではないでしょうか。
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KOMACHI労務事務所
社会保険労務士
宮崎 秀一郎