労基法の改正により、会社は、31年4月以降に有給が10日以上付与される従業員に対して、5日分を時季を指定して与えなければならないとされました。つまり、仮に31年7月1日に10日間の有給が与えられた場合、会社は、32年6月30日までに5日間を時季を指定して取らせるということになります。
ただし、10日与えられる従業員に限られますので、勤務時間の短いパートやアルバイトは、除かれます。ただ、有給は6年6ヵ月までは勤続年数に応じて増えていくため、長く勤めている場合、該当することがあるので、注意が必要です。ちなみに、半日単位や時間単位で取得した分もカウントすることができます。
毎週土日休みだと年間105日休日となりますが(1年はだいたい52週なので)、そこに祝日、お盆や年末年始が入って、さらに5日の有給が入ると年間休日が130日近くなってしまい、現実的ではない、という話をよく耳にします。そこで、法本来の趣旨からは外れると思いますが、実務的な対応としては、これまで休日としていた部分を労働日にして、そこに計画有給という形で組み込むことが考えられます。
やり方としては、少し乱暴ですが、労働条件を変更して、年末年始やお盆を労働日として、そこに計画有給という形で5日の有給を組み込むということです。ただし、当然会社が勝手に変更することはできず、従業員に不利益な変更となるので、労使でよく話し合った上で変更することができます。就業規則に定め労使協定の締結も必要です。
また、日給者や時給者にとっては、休日として取り扱っていたところに有給を充てるため、給与が発生することになります。そのことも、月給者に説明することが必要でしょう。
余談ですが、「休日」と「休暇」の違いをよく聞かれるのですが、まず「休日」とは,従業員が労働義務を負わない日です。法律上必ず与えなければならない法定休日と、会社が定める所定休日があります。
これに対して「休暇」とは,労働義務を負う日であるにもかかわらず,会社がその労働義務を免除する日のことです。有給のほか、育児休業や忌引き休暇などがあります。
しかし、この有給5日の強制付与、罰金30万円となっていますが、もし、臨検で会社に監督官が入ったとしても、これを調べるのはなかなか難しい気がします。もちろん発覚したとしても即座に罰金、ということではなく、是正勧告として、自主的な改善を促すということになるでしょう。会社としては、とにかく各人の有給日数を確認し、整理する必要がありそうです。
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KOMACHI労務事務所
社会保険労務士
宮崎 秀一郎